この連載も10回目となりました。そこで、今回は特別編。
NAUIインストラクターではありませんが、㈱PADIジャパン設立メンバーのお1人であり、業界のオピニオンリーダーとして、長年日本のダイビング業界でご活躍いただいている、
㈱PADIジャパン元会長、宮下 高行氏から、お祝いを込めたメッセージを頂戴いたしました。
来年が、NAUI創立50周年にあたるとのこと、心よりお喜び並びにお祝い申し上げます。
また、メンバーでない私に原稿の依頼を頂けたことは、大変光栄であり、とても嬉しく思います。
私は小さいときからずっと「空を飛ぶか海に潜る」ことをしたいと思っていました。
しかしどちらもチャンスが無く、大学に入った頃、地元にダイビングクラブが出きたことを知り、そこに入会して初めて本格的にダイビングを始めました。
その頃「田口 哲」氏がロスアンゼルス・カウンティ・インストラクター資格を取って帰国され、話題になっていたことを覚えています。
その後NAUIが導入された後も、インストラクター資格は私には縁のないものと思っていました。
大学に入ってダイビング同好会を作り、ダイビングに明け暮れる大学生活を送り、卒業すると同時にダイビングショップを開業、1972年にたまたま縁があってPADIアシスタントインストラクターとなりました。それ以来、NAUIメンバーにはなる機会が無く、ずっとPADIで育ち、現在に至っています。
余談ですが、1978年に入門書の「目で見る潜水教室」を執筆出版しました。しかし私は水中生物の知識が弱く、当時NAUIのアシスタントで私の婚約者だった現在の家内に、この部分を全部書いて貰い、大変助かりました。(もう、時効ですね)
私は、水中で呼吸すること、写真撮影、ダイビング後の仲間達との交流が大好きです。ダイビングは精神をリフレッシュし、人間性を回復させてくれます。
多くの指導員やショップの方々と同じように、私もまた、この素晴らしい世界を少しでも多くの人達に味わって頂きたいという思いで、ダイビングショップをやっていました。
一方世間では、自殺者が後を絶たず、その数の多さには心が痛みます。
こうした方々に、ダイビングの素晴らしさを知って頂ければ、生きている喜びを実感でき、自殺予防に少しでも役立つのではないかと思います。
また一部には「不誠実なビジネスを行う」悪質業者も存在し、少数の悪質業者が多くの消費者トラブルを生じています。
1994年にPADI、NAUIを含む指導機関4社で「Cカード協議会」を設立し、その活動を続けて行く中でユーザーからのクレームなども多く寄せられるようになりました。
そのため2003年に、公的機関と協力し「悪質商法に注意」というキャンペーンを始めました。
悪質業者には、指導機関同士が協力して誠実な事業者を支援し、被害者にアドバイスを与え、悪質業者が活動しにくい環境を作ることが重要と思います。
この活動で、NAUIの岩本社長にはC協の中心的な存在としてご協力頂き、ビジネスのライバル同士が業界の問題に対して一致協力するという仕組みを作ることが出来ました。これらの活動を通じて、互いの信頼関係を築けたことはこの上ない喜びです。
今ダイビング業界は、経済環境の悪さ、若年層のアウトドア離れ等々、大変厳しい経済環境にありますが、水中世界がもつ素晴らしさには何の変化もありません。
私はすでに指導機関の職責を離れ、今はダイビング高圧ガス安全協会という組織を運営しています。
以前と立場は異なりますが、この素晴らしい世界を、1人でも多くの人達に紹介するため、ダイビング活動やダイビング業界に少しでも貢献したいと考えていますので、皆様には今後ともよろしくお願い致します。
昭和23年(1948) 12月 | 東京で生まれる |
---|---|
昭和46年(1971) 3月 | 武蔵工業大学卒業 |
昭和46年(1971) 4月 | ダイビングプロショップMSC開業 |
昭和53年(1978) 9月 | 「目で見る潜水教室」舵社より出版 |
昭和55年(1980) 6月 | (有)宮下高圧創業 代表取締役 |
昭和57年(1982) 5月 | (株)PADIジャパン設立 |
平成3年(1991) 5月 | PADIジャパンカレッジ代表 |
平成4年(1992) 5月 | (社)海中協専務理事 |
平成6年(1994) 7月 | Cカード協議会設立 |
平成13年(2001) 3月 | (株)PADIジャパン会長 |
平成14年(2002) 5月 | ダイビング高圧ガス安全協会設立 |
平成16年(2004) 5月 | PADIワールドワイド北東アジア地区アドバイザー就任 |
平成19年(2007) 3月 | (株)PADIジャパンを退職 |
平成19年(2007) 8月 | ダイビング産業フォーラム設立 |