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NAUI × ずかんくん

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はじめまして!このたび『ダイビング指導機関NAUI宣伝隊長』に就任いたしました!海の生き物大好き!イラストを描くのが大好き!ずかんくんです!
広い海にはどんな生き物たちが暮らしているのか?『沢山知って、ダイビングをもっともっと楽しんじゃおう!』をテーマに、毎回登場する生き物を変えながらお話していきます!

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ずかんくん

第12回 ずかんくんコラム 
「カエルアンコウ」

「カエルアンコウ」

ダイビングの基本的なスキルを学ぶうちは、水中での活動もなかなか余裕がないものですが、ある程度水中環境に慣れて気持ちも落ち着いてくると、海の生き物たちのいろいろな姿をじっくりと観察することができるようになります。
今回は、魚類の体の仕組みについて触れていきたいと思います。
そして基本的な魚類の体の仕組みを学んだ後は、さらにステップアップしてユーモラスな姿に進化した、ダイバーに人気の「あの子」について、不思議な体の仕組みをご紹介します。
このコラムで楽しく学び体の仕組みを理解したうえで、実際に海の中にでかけてダイビングをしながらの水中観察に、トライしてみてください。

基本的な魚類の体

魚は水中で暮らすのに適した体をしています。体はウロコで覆われているものが多く、手や足の代わりにヒレが付いていて、水中で呼吸するための器官である「エラ」を持ち、このエラを使用して水中でエラ呼吸をします。
エラの上には板状の骨でできたエラぶたがあり、エラ孔(あな)を開いたり閉じたりして、口から水を飲みこみます。その水がエラをとおってエラ孔から出ていくときに、水の中に含まれる酸素をエラの「鰓弁(さいべん)」という部分が取り込むため、呼吸することができます。

(眼)・・・魚の眼はかなりの色を見分けると言われています。まぶたはありませんが、まぶたの代わりに薄い膜である、「脂瞼(しけん)」を持つものがいます。

(鼻)・・・ほとんどの魚には鼻の穴が4つあります(左右前後に2つずつ)。前後の鼻は繋がっていて間にある器官を水がとおり抜けることで、においを感じ取ります。

(口)・・・多くの魚は、口が頭部の先に付いていますが、上向きや下向きに付いている魚もいます。口の先の方は「吻(ふん)」とも呼ばれます。
歯は食べるものによって形が異なります。歯を持たない魚もいます。

(ウロコ)・・・皮膚が変形したもので、薄くてかたく透明です。多くの魚は体の大部分がウロコで覆われていますが、体の一部にしかウロコのないもの、ウロコが全くないものもいます。ウロコの形は種によって様々です。

(ヒレ)・・・ヒレは、ヒレを支えるとげ「棘条(きょくじょう)」またはすじ「軟条(なんじょう)」と、薄い膜でできています。種によって付いている場所や数、形が異なります。

マダイ
スズキ

カエルアンコウはどんな魚?

カエルアンコウはどんな魚?

「カエルアンコウ」
(体長)16cmほど
(水深)200m以浅、砂泥や砂泥底に生息
(分布)本州沿岸では普通種伊豆~小笠原列島、北海道~九州南岸の日本海・東シナ海沿岸、瀬戸内海、宮城県~九州南岸の太平洋沿岸、インド-太平洋

人の手のように進化した胸ビレを使って海底を這うように進むことができます。魚類にしてはかなり変わった胸ビレをしていますが、れっきとした胸ビレです。泳ぐのはあまり得意ではありません。普段、岩陰やカイメンの間でじっとしていることが多いです。カエルアンコウの仲間は、ユーモラスなその姿に加えて体の色や模様が個体によって違うのでとても人気があります。
口の上のアゴには、背ビレ第一棘が変化した「誘引突起(ゆういんとっき)/イリシウム」を持ち、先端は「疑似餌状体(ぎじえじょうたい)」になっています。

カエルアンコウは釣り名人

泳ぐのが苦手なカエルアンコウは、動き回って獲物を捕らえる行動はしません。
カエルアンコウの体色は隠ぺい性が高く、海底に静止することで周囲の風景に溶け込みます。
そして釣竿のような誘引突起を動かして小魚が寄ってくるのを待ち、素早い動きで小魚を丸呑みにします。
釣り竿のような器官は「エスカ(疑似餌)」と言い、ゴカイなどの生物に似せています。
この行動を「攻撃擬態(こうげきぎたい)」と呼びます。

カエルアンコウは釣り名人

体にロケットを持つ?!カエルアンコウの仲間の変わり種

「ロケットカエルアンコウ」
(体長)約10cm
(水深)21m以浅の沿岸域に生息
(分布)沖縄島

鰓孔(さいこう)が尻ビレの近くにある。ここから呼吸水を噴出して海底を移動すると思われる。
非常に珍しい種で、沖縄島で台風通過後に打ち上げられた個体が採集されている。

「ロケットカエルアンコウ」

その他のカエルアンコウの仲間たち

(クリックで詳細を表示)

「クマドリカエルアンコウ」

(体長)約8.5cm
(水深)35m以浅の岩礁やサンゴ礁に生息
(分布)伊豆諸島、相模湾~九州南岸の太平洋沿岸(散発的)、琉球列島、インド-太平洋

成魚は体にイボ状の突起が発達する。
成長に伴い疑似餌状体の形が変わり、幼魚では小型甲殻類、成魚になると小型魚類に似る。

「クマドリカエルアンコウ」

「ベニカエルアンコウ」

(体長)約9cm
(水深)293m以浅の岩礁に生息
(分布)伊豆-小笠原諸島、千葉県~九州南岸の太平洋沿岸、インド-太平洋、東太平洋(局所的)

誘引突起は短いが、疑似餌状体は発達し小型甲殻類に似る。背ビレには眼状班(眼のような模様)が、はっきりとある。
岩に身を寄せて岩肌に付着するカイメンなどに擬態している。

サクラダンゴウオ

「カエルアンコウモドキ」

(体長)約4.9cm
(水深)17m以浅のサンゴ礁に生息
(分布)小笠原諸島、駿河湾~高知県柏島の太平洋沿岸(散発的)、琉球列島、インド-太平洋

誘引突起は細長く、先端に疑似餌状体がない。

カエルアンコウモドキ

「イロカエルアンコウ」

(体長)約16cm
(水深)75m以浅の岩礁やサンゴ礁に生息
(分布)伊豆諸島、相模湾~九州南岸の太平洋沿岸(散発的)、琉球列島、インド-太平洋

ヒレや体にはっきりとした眼状班がある。

<近縁のオオモンカエルアンコウとの違い>
イロカエルアンコウは、背ビレ軟条(なんじょう)が10本。胸ビレ軟条が10本。
オオモンカエルアンコウは、背ビレ軟条(なんじょう)が11本。胸ビレ軟条が11本。

イロカエルアンコウ

「オオモンカエルアンコウ」

(体長)約30cm
(水深)30mより以浅の岩礁域やサンゴ礁域に生息
(分布)南日本の太平洋岸、伊豆・小笠原諸島、琉球列島

近縁のイロカエルアンコウとは混同されることが多く、両種の写真同定は難しい。

オオモンカエルアンコウ

「ハナオコゼ」

(体長)約14cm
(水深)沿岸~沖合の表層を漂う流れ藻に付いて生息
着底直後の幼魚は海底で見られる。その後、幼魚も成魚も流れ藻に付く
(分布)北海道~琉球列島、小笠原諸島など日本全域、海外ではインド-西太平洋、ハワイ諸島。大西洋

他のカエルアンコウと違う個性的な生活史を送っている。
誘引突起は短く疑似状体も小さく目立たない。

ハナオコゼ

アンコウ目他の魚たち

(クリックで詳細を表示)

「アンコウ」アンコウ目アンコウ科

※「ホンアンコウ」と呼ばれるものはこの種ではなく別種の「キアンコウ」を指します。
キアンコウは鍋料理や、煮付け、塩干物などにされ、美味。肝は特に好まれます。

(体長)約40cm
(水深)30m~500mに生息
(分布)北海道以南、南日本、インド・太平洋

見られるのは主に冬。産卵期は5~11月。
誘引突起を持ち、その先端には疑似状体を持つ。
平たい体を活かして、砂地に潜り疑似状体におびき寄せられた魚類や甲殻類を大きな口で捕食する。「クツアンコウ」とも呼ばれ、キアンコウ同様に食べられるが、味は少し劣る。

アンコウ

「アカグツ」アンコウ目アカグツ科

(体長)約20cm
(水深)50m~400m付近に生息
(分布)新潟県~九州西岸の日本海。東シナ海沿岸、青森県~日向灘の太平洋沿岸、瀬戸内海、朝鮮半島南
岸、中国東シナ海沿岸、インド-西太平洋

海底面では発達した胸ビレと腹ビレで体を支えて静止し、移動時には胸ビレを交互に使用して匍匐(ほふく)する。
和名のアカグツの「グツ」は、「ヒキガエル」あるいは「クツアンコウ」の意味と言われている。

アカグツ

「ミドリフサアンコウ」アンコウ目フサアンコウ科

(体長)約20cm
(水深)75m~508m付近に生息
(分布)千葉県銚子~九州南岸の太平洋沿岸、東シナ海大陸棚縁辺域

朱色の地色に黄色で縁取られた淡緑色の小円形班(しょうえんけいはん)が散在する。
誘引突起は細長く、疑似状体は小さい。魚類や甲殻類を捕食する。

ミドリフサアンコウ

「チョウチンアンコウ」アンコウ目チョウチンアンコウ科

(体長)オスは4cm メスは約60cm ※オスが極端に小さい
(水深)600m~1210mの深海域に生息
(分布)釧路~相模湾の太平洋沖、太平洋

中深層遊泳性の生活史を持つ。獲物を誘うための「誘引突起/(イリシウム)」と「疑似状体/(エスカ)」を特徴とする。誘引突起は背ビレの第一棘が変化したもので、疑似状体には発光細菌が共生し、疑似状体から延びる細い枝の先端と根元が発光する。
また、疑似状体から発光物質を放出するのが観察されている。深海は暗いので、チョウチンアンコウの持つ疑似状体が放つ光に誘われて獲物がおびき寄せられると考えられている。
疑似状体は2本の短い突起と約10本の細長い皮弁(ひべん)。
成魚になると、繁殖時にはオスがメスに噛みついて寄生する。オスはメスのにおいで寄生すべき種を判断していると考えられており、オスはメスに精子を送り込み役目を終える。その後オスはメスの体に取り込まれ、イボのようになって体表に残る。オスは原則的に子孫を残すことのみを目的とした一生を送る。1匹のメスの体表に4~5匹のオスが寄生するケースもある。

チョウチンアンコウ

最後に

今回のコラムではダイバーにおなじみのカエルアンコウの解説に加え、アンコウ目の仲間としてさらに範囲を広げ、鍋物でおなじみのアンコウ(実際にはキアンコウ)や深海に暮らす有名な深海魚であるチョウチンアンコウまで幅広くご紹介させていただきました。
ダイビングで観察しやすい普通種のカエルアンコウと共通する特徴をアンコウや、チョウチンアンコウも備えているということはかなり面白いので、興味を持っていただけたと思います。ぜひダイビングでカエルアンコウをじっくり観察する機会に恵まれたら、移動する際の胸ビレの動かし方、そして捕食する際に疑似状体をどのように動かすのかなど、色々な部分に注目してみてください。ダイビングが楽しくなるはずです。

(参考文献・引用書籍・WEB媒体)
・写真検索 釣魚1400種図鑑(KADOKAWA)
・北海道の魚類 全種図鑑(北海道新聞社)
・小学館図鑑NEO 魚(小学館)
・小学館の図鑑Z 日本魚類館(小学館)
・ポプラディア大図鑑 魚(ポプラ社)
・学研の図鑑 Live 魚(Gakken)
・講談社の動く図鑑move 魚(講談社)
・山渓ハンディ図鑑13 改訂版 日本の海水魚(山と渓谷社)
・山渓カラー名鑑 日本の海水魚(山と渓谷社)
・世界で一番美しい海のいきもの図鑑(創元社)
・日本産魚類生態大図鑑(東海大学出版会)
・日本産魚類検索 全種の同定 第三版(東海大学出版会)
・深海生物の謎 (宝島社)
・特別展「深海」2017~最深研究でせまる「生命」と「地球」~(NHK・NHKプロモーション・読売新聞社)
・神奈川県博収蔵資料データベース KPM-NR182172
(2024年3月)